退院調整看護師とは?

退院調整看護師とは?

退院調整とは?

 近年では、入院日数が昔と比べてどんどん短縮化されています。例えば、急性期病院の場合では、14日程度内での退院が一つの目安となっています。もっと早いケースで言うと、入院した当日に手術を受けて、3日、4日後には退院というのもよくあります。

 その為、完全に治癒する前に退院することとなりますので、治療の途中で投げ出されたと感じる患者さんや、退院後に治療を続けながらの生活を不安視する家族が増えているのが現状です。

 そういった現状を受け、看護師が中心となり、在宅でも安心した療養生活が送れるように、患者や家族を支援していくための取り組みが必要となりました。こういった取り組みを「退院調整(退院支援)」と呼んでいます。

退院調整看護師の役割とは??

 患者さんは例え治らない病気だとしても、最後まで自分らしく生きたい、今まで暮らしてきた環境で最後まで暮らしたいと思っています。

そういう患者さんの願いを少しでも実現していく為に、退院に向けた環境を外部の医療機関や介護施設などと連携し、調整していくのが退院調整看護師の役割です。

退院調整看護師の業務内容は、単に患者さんの主治医と看護師が患者の退院するために支援するということではありません。近隣の退院支援センターやケアセンターなどの地域内の関係医療サービスと連携しつつ、患者さんとその家族が退院後も安心して治療出来るようにサポートすることが大切です。

退院調整が必要な患者は?

全ての患者さんに対して退院調整が必要な訳ではありません。退院調整が必要となる患者さんは、高度治療が必要となる患者さんや、実生活をしていく上で介護や介助などが必要となる患者さんが該当します。

例えば、退院後も継続的な高度医療が必要な患者さん、容態が不安定で入退院を繰り返す可能性が高い患者さんなどが該当します。

また、一人暮らしの患者さんの場合や、家族と同居の場合でも、家族が昼間は働いていたりなど、十分な介護を受けることが難しい患者さんなども退院調整の必要性があります。

退院調整が必要な患者さんは大きく分けると3パターン

まずは、80歳代から90歳代の後期高齢者の患者さんです。

骨折や脳卒中などで、身体に障害の残る可能性の高い疾患はもちろんですが、それ以外でも、高齢患者は入院前の状態まで元気になるのが難しくなります。そのため家族の負担がかなり増えてしまう為、サポートが必要となります。

次に、末期がんの患者さんの場合。
近年では、永年住み慣れている自宅で、最期を迎えたいと希望する患者さんが増えつつあります。
しかし、疼痛など、どうしても家族だけでは対応できない問題もあり、在宅での治療に対して不安が強い傾向にあります。

3つ目は神経難病の患者さんや小児難病を持つ子どもの患者さんです。

神経難病で有名なのは、パーキンソン病や、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、多発性硬化症などが挙げられます。どの病気も治療方法が確立されておらず、薬で抑えても快方には向かわずに徐々に進行してしまう難病です。

患者本人の身体的苦痛と精神面の不安は計り知れないものですが、介護する家族にも、大きな不安と肉体的な負担が大きく、介護を続けていくにはサポートが必要になります。

退院後の継続看護がポイント

退院調整では、患者さん自身の退院後の希望を適切に汲み取る事が大切になります。

  • 在宅での治療を希望しているのかどうか
  • 設備の整った施設への入所を希望しているのか
  • 治療の為に通院することは可能かどうか
  • 同居可能な家族はいるのかどうか
  • いる場合は介護が可能かどうか

患者さんの容体だけでなく、患者さんの周りの環境もすべて含めて考え、最も適切な対応をしていくことが必要になります。

さらに、地域内の各種医療機関との連携を取りつつ、患者さん一人ひとりに合った適切な退院支援を進めることになります。
患者さん本人、患者さんの家族と常に二人三脚で関わることになる退院調整看護師は、患者さんの入退院の調整だけでなく、患者さんが望む形で病状と向き合いながら生活出来るかどうかを決める重要な業務と言えるでしょう。

患者さんと寄り添いながら支える

「本当は自宅や、自分の思い出の場所で療養したいけれども、治療が難しそうだから。。。」と諦めて、入院している患者さんも多くいます。

そういう患者さんに対しては、患者さんの希望が叶えられるように各機関と密な連携を取り解決策がないかを一所懸命に探る。患者さんに心身共に寄り添い、患者さんの想いを受けとめ、実現できる方法を探りつつ支える。

そういう想いが退院調整看護師には必要となります。

退院調整看護師になるには

退院調整看護師を目指したい看護師さんは、退院調整看護師への転職を目指してる看護師の方へも一度読んでみてください。

どういった病院で退院調整看護師の求人が出やすいのか、病院の規模ごとに異なる退院調整看護師の業務内容などもまとめてあります。

退院調整看護師の求人は、規模の大きな病院が中心となりますので、ハローワークよりも看護師の人材紹介会社の方が求人情報がでやすくなっています。病院側も人材紹介会社経由のほうが人事の負担が少なくなり、効率的に人材登用ができるためです。

そのため、退院調整看護師を目指す場合は、まずは看護師の求人サービスなどに登録をおすすめします。コンサルタントに直接ご自身の希望を細かく伝えると、ネット上には載っていない求人も探してくれますので、便利です。

求人会社ごとに、抱えている求人は変わりますので、希望の病院がなかった場合は、複数の会社に登録するのも一つの手です。

退院調整看護師は看護師としても、やりがいのある職種になりますので、興味を持たれた方は是非挑戦してみてください。まだまだ、あなたを必要としている患者さんはいます。