看護師の転職市場(有効求人倍率が高い理由)

『入院患者人数:必要看護師人数』によって変化する保険診療報酬

2008年のリーマン・ショックの影響で、一般企業の転職市場の有効求人数が大きく落ち込み人材市場は大きく冷え込みました。しかし、医療分野、特に看護師においては、看護師の配置(1人の看護師が何人の患者を看護するか)によって、保険診療報酬が大きく変わってくるため、病院は看護師を増やしたい状況が続いています。しかし、一方で、看護師業務は激務であるため、離職率も高いことから、多くの病院は常に看護師不足となっています。

一つの病院に対して、看護師が何人の勤務が必要なのかは、法律によって定められています。入院患者1人に対して、必要な看護師の人数は、『入院患者人数:必要看護師人数』で言うと、「15:1」「13:1」「10:1」「7:1」の4つの区分に整理されています。この中のうち、「7:1」の区分は平成18年の『診療報酬改定』で新しく制定された基準となります。

看護師が多いと、病院への診療報酬が増える仕組み

診療報酬の中の『入院基本料』と『看護師の人数』は、実は連動しているんです。『入院基本料』とは、病院が医療保険からもらう診療報酬の一つで、医師の診察行為や看護師の看護行為などに対して国から支払われる報酬金のこと。看護師の配置が多ければ多いほど『入院基本料』が高くなり、病院への支払いが多くなります。細かな金額は各病院によって変わりますが、看護師の人数が多く配置されればされるほど、『手厚い看護が提供できる』とされ、病院側は、高い報酬を貰うことができます。

例)一般病棟に1日入院した場合の診療報酬

入院患者7人に対して看護師が1人配置されている病院」の入院基本料は15,550円
入院患者15人に対して看護師が1人配置されている病院」の入院基本料は9,340円

その差額はナント6,210円にも!
このからくりの為に、多くの病院が少しでも高い入院基本料を貰おうと「入院患者7人 対 看護師1人」になるように、看護師の採用に力を入れるようになりました。

つまり、看護職員の転職マーケットは現在の日本では数少ない売り手市場となっています。医療機関からは、特に看護師が欲しいというニーズがあり、面接回数が少なく(1回の面接で終了というケースも!)マッチングがしやすく、転職がしやすい状況です。

求人倍率の表

参照(厚生労働省:一般職業紹介状況(平成21年3月分及び平成20年度分)について)

平成20年~平成21年の厚生労働省の職業別の勇往求人倍率のデータでも医療関係の有効求人倍率が突出しているのがわかります。